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失敗が怖い大学生へ。21歳で会社を始めて閉じた代表が、落ち込んだあとに決めたこと

大学3年で仲間と会社を始め、2年ほどで閉じた。同級生が就職していくなか「将来、本当に大丈夫かな」と落ち込んだキミタビ代表の渡邉が、そのあとに決めたこと。失敗を「上書き」する考え方と、学生のうちに打席を増やすやり方をまとめました。

 文:キミタビ編集部

スライドの前で、マイクを持って英語で発表する参加者

挑戦したいことはある。でも、うまくいかなかったときの自分を想像すると、手が止まる。友だちにどう思われるか。時間とお金を無駄にしたと言われないか。

キミタビをつくった代表の渡邉にも、そういう時期がありました。取材のテーマは「失敗と、そこから学んだこと」。最初に痛かった失敗を聞くと、渡邉は学生時代の会社の話から始めました。

最初は自分が21歳の時、大学3年生の時ですね。結局2年ぐらい事業をやったんですけども、最終的にはうまくいかず会社を閉じるという経験をした。人生の中で最も落ち込んだ瞬間だったんじゃないかなというふうに思います。 渡邉(キミタビ代表)・2026年10月の取材

大学3年、3人で始めた結婚式の会社

始めたのは、ウェディングプロデュース。オリジナルの結婚式をつくる仕事です。

うまくいかなくなった理由を、渡邉は「一言で言うと」と前置きして話しました。将来性も収益性もないと分かって、自分たちが「やりたかったことではないこと」をやらざるを得なくなった、と。

オリジナルの式をつくればつくるほど、利益率が下がる。その分を値段に乗せられない。利益を確保しようとすると、できあがるのは「他社さんが作っている結婚式とほぼ変わらないもの」でした。

やりたいことのために始めた会社が、続けるために、やりたいことを削っていく。1年ほどやったところで、渡邉たちは「自分たちのビジネスプランだと難しいぞ」と気づき始めていました。

卒業していく同級生と、「将来、本当に大丈夫かな」

そんなとき、3人のうちの一人が「他の方向性で自分はやりたい」と言い出します。ちょうど大学を卒業する時期でした。渡邉は「ものすごい不安になったことは覚えています」と言います。

誰かに何か言われたのか、と聞き返されると、「不安になったのは自分自身ですね。人から聞いたわけじゃないです」。仲間は一人、また一人と抜けていった、と渡邉は言います。

不安の中身を、渡邉はこう話しています。

結局、所詮学生でしたし、自分自身が例えばビジネスモデルが少し崩れ出したときに何をしたらいいのかというのがよく分かってもなかったですし、当然お金も持っていない。周りはどんどん卒業して就職していく、新卒で楽しそう。その中で自分自身は前に進んでいるのか進んでいないのか分からないという状況に陥っていく。一言で言うと将来本当に大丈夫かなということが一番大きい不安ではありましたね。 渡邉(キミタビ代表)

「周りはどんどん卒業して就職していく、新卒で楽しそう」。ここに覚えのある人は多いと思います。就職でなくても、留学に行った友だち、資格を取った友だち、サークルの代表になった友だち。スマホを開けば、誰かが前に進んでいるように見える。

怖さを、分けて書いてみる

渡邉の話をよく読むと、不安はひとかたまりではありません。何をしたらいいのか分からない。お金がない。周りと比べて、自分が進んでいるのか分からない。少なくとも三つが重なって、「将来本当に大丈夫かな」になっています。

挑戦が怖いときは、自分の怖さも同じように分けて書いてみると、手をつけられるものが見えてきます。

怖さの種類 自分の場合を1行で 小さくする一手の例
やり方が分からない (例:海外のプログラムの選び方が分からない) 先に行った人や、相談会で1つだけ聞く
お金・時間が足りない (例:参加費がいくらかかるか見えていない) 費用と、使える奨学金を一度だけ調べて書き出す
人と比べてしまう (例:周りはインターンに行っている) 比べている相手を1人に絞り、その人が何から始めたかを聞く

三つ全部を消す必要はありません。一つ小さくなるだけで、打席に立つ足が少し軽くなります。

1週間ほど沈んで、決めたこと:過去は「上書き」できる

うまくいかなかったと分かったとき、渡邉は「1週間ぐらいかな、すごい落ち込んだ」と言います。ここで諦めたら、どうなるか。渡邉の答えは「ただただ起業失敗した人になる」。では、諦めなかったら。勉強し直して、いつか立ち上げ直した会社がうまくいけば、今度は「あの時の経験があったからこそ」と言える。

つまり、過去あったことっていうのは、もう一回チャレンジすることによって上書きできるんだという、そういったことをどこまでその時思ったのかっていうのは覚えてないけども、少なくともこの経験を糧に前に進もうと決めた瞬間はあったなというのは覚えています。 渡邉(キミタビ代表)

渡邉は「その時どこまで思ったかは覚えていない」と、正直に言っています。落ち込んだその日に、前向きな言葉がすらすら出てきたわけではありません。1週間ほど沈んで、そのあと「前に進もう」と決めた瞬間があった。覚えているのは、そこまでです。

次の打席は、思ってもいない場所にあった

前に進もうと決めた渡邉が入ったのは、投資ファンドでした。「たまたまご縁があって」と本人は言います。そこで経営を一から学び、能力の高い人たちが夜中まで「切磋琢磨して働いている」環境と基準の中で、力を伸ばした。その結果、のちにフィリピンで会社を立ち上げることができた、と話しています。

学生の会社では、ビジネスモデルが崩れたときに何をしたらいいのか分からなかった。そこを、別の場所で一から学び直したことになります。

その後も、平らな道ではありませんでした。2020年3月、新型コロナウイルスが広がるなかで、政府から「翌週から授業をしてはいけない」という命令が出ます。生徒にどう説明するか。留学の途中の人はどうするか。お金はどうするか。そもそも帰国できるのか。「すべてが初めてのこと」の中で、渡邉は「とにかく情報を収集して正しい意思決定をするしかない」と割り切ったと言います。

21歳のときの「何をしたらいいのか分からない」と、2020年の「情報を集めて決めるしかない」。二つを並べると、その間に何を学んだのかが少し見えてくる、と私たちは読みました。この日の話は、会社サイトの代表インタビューにくわしく載っています。

10回立って、7回は外す

取材の最後に、この話でいちばん伝えたいことを聞きました。渡邉は、よく使うというたとえを出しました。大谷翔平選手でも、10回打席に立ってヒットは3回ほど。裏を返せば、7回は失敗している。だから「失敗を恐れるのではなく、打席に立つ数をいかに増やして、一つでも多くの成功を手に入れる」ことだ、と。

自分の学生時代の会社も、その打席の1つだと渡邉は話します。その経験があったから「次の打席、さらにその次の打席」で結果を出せるようになってきた、と。そして、学生に向けてこう続けました。

だからこそ学生さんに伝えたいのは、実は失敗しろってことなんじゃないかなと。失敗を恐れずに、もちろん失敗を狙っていくわけじゃないんだけども、結果として失敗したとしても、それはすべて人生は前に進んでいくと信じてやり続けることじゃないかなというふうに思っています。 渡邉(キミタビ代表)

「失敗しろ」と言いながら、すぐに「失敗を狙っていくわけじゃない」と添えています。わざと外すのではない。外しても、打席に立つのをやめない。

失敗から学べる人について研究で分かっていることは、「挫折経験は面接でどう話す?」の中の「失敗から学べる人は、何が違うのか」に書いています。ここでは、その手前の「打席に立つ」ほうを考えます。

今月、立てる打席の例

打席を増やすといっても、いきなり会社をつくる必要はありません。渡邉の最初の打席は、会社そのものでした。はじめの一打席は、もっと小さくていい。

選び方のこつは、凡退しても取り返せるものだけを賭けること。時間なら数時間、お金なら数千円、恥ずかしさなら一晩寝れば薄れるくらい。そのくらいなら、凡退した翌週にまた立てます。

打席 凡退したら失うもの 打てなくても残るもの
授業で最初に手を挙げて質問する その場の少しの恥ずかしさ 「言っても大丈夫だった」という感覚
学内の留学生に自分から話しかける 数分の気まずさ 英語で何が言えて、何が言えなかったかの具体
気になる団体やゼミの先輩に、話を聞かせてほしいと連絡する 返事が来ないこと 連絡の書き方。次はもっと短く書ける
サークルやゼミで、小さな企画を1つ出す 企画が通らないこと 通らなかった理由。次の企画の材料になる
1日だけのボランティアや、短いインターンに申し込む 半日〜数日の時間 その分野が自分に合うかどうかの手がかり
春休みの海外のプログラムに応募する 準備の時間と、選考に落ちる可能性 自分が何をしたいのかを言葉にした経験

手を挙げて外した日にも、右の列のどれかは手元に残ります。渡邉の言葉でいえば、それが「次の打席」の材料です。

凡退したあとの順番

渡邉も、1週間ほど沈んでいます。そのあとで前に進むと決めた。この話から編集部が考えた、凡退したあとの順番の一つの型です。日数は人によって違っていい。

  1. 落ち込む。 無理に前向きな言葉をひねり出さない
  2. 何がうまくいかなかったかを、3行だけ書く。 渡邉の会社なら「こだわるほど利益が下がり、値段に乗せられなかった」
  3. 「何をしたらいいのか分からなかった」ことを1つ挙げる。 それを誰から、どこで学べるかを考える
  4. 次の打席を1つ決める。 前より小さくてもいい

キミタビの13日間にも、凡退する日がある

キミタビの13日間にも、うまくいかない日があります。2026年夏の毎日の振り返りでは、満足度の平均は Day1 8.6 → Day7 7.6 → Day10 9.0(10点法)でした。7日目は、カンボジアの学生と英語で話し合って企画を決め、発表してフィードバックを受ける日です。企画の山場と重なるから下がる、というのが運営の見立てです。

その7日目のあとの Day10 で、満足度の平均は最初の日を上回っていました。落ち込んだ日の過ごし方は「海外で落ち込むのはなぜ?」にまとめています。

次に読むなら

春休みの打席を探している人は、相談会やLINEで気軽に聞いてください。「自分に向いているか分からない」という相談も大丈夫です。

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日程だけ、費用だけ、親に見せる資料だけ、でも。