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海外から帰ったら熱が冷めた? 修了式の涙を「一時の興奮」で終わらせない方法

最終日の夜は「これから変わる」と本気で思えたのに、帰って3週間でいつもの毎日に戻っていた。よくある話です。キミタビ代表の渡邉が話す「修了式のその先」と、研究で分かっている続けるコツ、宣言を続けるための1か月の過ごし方をまとめました。

 文:キミタビ編集部

修了式の会場で、それぞれの宣言を書いた紙を掲げて笑う参加者たち

最終日の夜。みんなの前で、自分の宣言を読み上げる。声が震えて、気づいたら泣いている。「帰ったら絶対に変わる」と、本気で思っている。

そして3週間後。授業とバイトと、いつものグループLINE。カンボジアの写真を見返す回数は減って、宣言を書いた紙は、どこにしまったかも思い出せない。

よくある話です。そして、キミタビをつくった代表の渡邉も、まさにそこを気にしています。

最終日を見ていていつも思うんですけど、(中略)それが一時の興奮で終わってはいけない。

この記事は、海外から帰ったあとに熱が冷めてしまう理由と、冷まさないための具体的なやり方の話です。

修了式でみんな泣く。代表が気にしているのは、その後

キミタビの13日間では、11日目の午後に一人ひとりが「キミタビ宣言」を書きます。夕方からは修了式です。渡邉によると、そこでは「ほぼみんな号泣して泣いている」。

運営する側からすれば、いちばんうれしい時間のはずです。それでも渡邉は、こう続けます。

そういう意味では、実はキミタビというのはきっかけでしかないかなと。きっかけでしかなくて、じゃあその後どうしたらいいのっていうことに対しても、例えば帰国後も自分が決めたキミタビ宣言をきちんと実行していける、そういう仲間たちと一緒に。そういった環境をしっかり作っていきたいなというふうに思ってます。

渡邉の言葉を借りれば、13日間は「きっかけ」。では、帰ってからをどうするか。ここからは、その具体的な話です。

熱が冷めるのは、あなたのせいじゃない

帰ってから熱が冷めるのには、ちゃんと理由があります。

現地では、毎日が「いつもと違う」ことの連続でした。英語で話すしかない。初めて会った人に話を聞くしかない。夜はチームで企画を練る。そういう環境が、半ば勝手にあなたを動かしていました。

日本に帰ると、その環境がまるごと元に戻ります。周りの人も、時間割も、スマホの通知も、出発前と同じ。環境が元に戻るのに、気持ちだけで続けようとするのは、どうしても分が悪いのです。

海外での学びを調べた研究に、こんなものがあります。米国の大学などによる大規模な調査(Georgetown Consortium Project)は、学生が海外で最もよく学ぶのは、メンタリングや振り返りのように「先回りして用意された学びの関わり」があるときだと結論づけました(Vande Berg ほか、2009年)。行けば自然に身につく、というわけではない、ということです。

この研究が調べたのは現地にいる間の学びです。ただ、帰ってからも同じことが起きると私たちは見ています。何も用意しなければ、学びはいつもの毎日に溶けていく。だからこそ、帰ってからの「仕掛け」を先に決めておくのが近道です。

帰ってすぐ、なんとなく元気が出ない、日本の当たり前にもやもやする、という人もいます。それは「逆カルチャーショック」と呼ばれるもので、珍しいことではありません。詳しくは「海外で落ち込むのはなぜ?」の最後の章に書いています。

ちなみに、あなたは13日間の途中で、もう一度「谷」を越えています。キミタビでは7日目ごろ、企画がなかなか通らずに気持ちが沈む日がよくあります。渡邉は毎晩の記録を見ていて「谷がなければ、実は最後成長もない」と気づいたそうです。あのとき何が効いたのか(誰かに話した、寝た、小さく一歩だけ進めた)は、帰ってからの谷にもそのまま使えます。

宣言は「もし〜なら、〜する」で書く

続けるためにいちばん効くのは、宣言の書き方です。

「もっと挑戦する」「世界のことに関心を持つ」。気持ちはよく分かるのですが、この形だと、帰ってからの毎日の中で「じゃあ今日、何をする?」が決まりません。

心理学には「実行意図(if-then プランニング)」という考え方があります。「もし〜なら、〜する」と、行動のきっかけと中身を先に決めておく方法です。94の検証をまとめた分析では、目標をただ決めるだけより、こうして決めておく方が、目標の達成に中くらいから大きな効果があったと報告されています(Gollwitzer と Sheeran、2006年)。

宣言を、この形に書き直してみます。

ふわっとした宣言 続けやすい宣言(もし〜なら、〜する)
もっと英語を話す 火曜の昼休みになったら、学内の留学生ラウンジに10分だけ行く
世界のことに関心を持つ 朝の電車に乗ったら、海外のニュースを1本だけ読んで、気になった言葉をメモする
自分から挑戦する 次に授業で「誰か意見ありますか」と聞かれたら、最初に手を挙げる
カンボジアで見た課題に関わり続ける 毎月1日になったら、一緒に行った仲間に「今月何する?」と1行送る

ポイントは3つです。

  • 小さくする。 「毎日1時間」より「毎週10分」。続かない大きな宣言より、続く小さな宣言の方がずっと強い
  • きっかけを決める。 「火曜の昼休み」「朝の電車」のように、毎日の中にもうある場面にくっつける
  • 人を入れる。 一人で決めたことは、一人でやめられてしまう。誰かに言う、誰かと一緒にやる

続かなかった週の立て直し方

決めたのに、やれなかった週は必ず来ます。そのときに「やっぱり自分はダメだ」と全部やめてしまうのが、いちばんもったいないパターンです。

  • 「なぜできなかったか」を1行だけ書く。 「火曜はゼミが延びる」なら、きっかけを木曜に移せばいい。意志の問題ではなく、設計の問題として扱う
  • 一段小さくする。 10分が無理なら3分。ニュース1本が無理なら見出しだけ
  • 0にしない。 週1回が無理でも、月1回は続ける。続いている、という感覚が次の週を支えます

一人で抱えない:キミタビがいまつくり始めている場

3つ目の「人を入れる」は、キミタビの側でも取り組み始めています。渡邉に、帰ってからの場について聞きました。

今の段階だと、キミタビ期間中にも積極的に今後もアクションを取っていきたいと言っている学生に声をかけて、そのコアメンバーたちと、まずはベースのコミュニティの形を作っていこうというふうにスタートしています。そこである程度形が出来上がってきたら、それをキミタビの卒業生たちに広げていこう、という形で今進めている状況ですね。

最初の集まりの日時や場所は、まだ決まっていません。始まったばかりの段階です。形になったら、ここやLINEでお知らせします。

それまでのあいだに、自分たちでできることもあります。たとえば、同じ回のチームで「1か月後の30分」を先に決めておく。進め方は、これくらいで十分です。

時間 やること
最初の5分 近況。カンボジアのことで、最近ふと思い出したことを1人1つ
次の15分 1人ずつ、宣言の「できたこと」と「できなかったこと」を1つずつ。できなかった理由も、責めずに聞く
最後の10分 次の1か月の「もし〜なら、〜する」を1人1つ決めて、チャットに書いておく

DIVE で、1か月を一人で進んだフィオナさんは、こう話していました。

DIVEは、一人だけど一人じゃないと思ってて。どっちに進んだらいいか明確には言われないけど、絶対に背中を押してくれるから。 フィオナ(大学2年)・DIVEのあと

帰ってからの毎日も、それぞれ別の場所で、一人で過ごす時間がほとんどです。それでも、月に一度、背中を押し合える相手がいるかどうかで、続き方は大きく変わります。

先輩たちが最後に話した「これから」

キミタビの参加者は、最後に「これから」をどう話していたのか。インタビュー動画から拾ってみます。

ニュースとか見てても流し見ぐらいだったんですけど、実際に目で見ることができたから、もっと世の中のことに関心を持って。 クロエ(大学3年)・最後の夜

これからも自分から挑戦していきたいなと思います。 ナズ(大学生)・1週間の終わりに

どちらも、その場ではまっすぐな本音です。この言葉を帰ってからの行動につなげられるかどうかは、「いつ・どこで・何を」まで落とせるかにかかっています。

試しに、2人の言葉を書き直してみます。

  • クロエさんの「もっと世の中のことに関心を持って」なら → 「朝の電車に乗ったら、海外のニュースを1本読む。カンボジアのニュースが出たら、一緒に行った仲間に送る」
  • ナズさんの「自分から挑戦していきたい」なら → 「留学生と同じ授業になったら、最初の週に自分から1回話しかける」

それくらい小さくていいのです。小さく決めたことが続くと、その次の挑戦を選ぶ余裕が生まれます。

帰った日から3か月後まで:宣言を続けるための表

最後に、帰ってから宣言を続けるためにやることを、時期ごとにまとめました。全部やらなくて大丈夫です。できそうなものから1つ選んでください。

いつ やること
帰った日〜翌日 宣言の紙(または写真)を、毎日目に入る場所に置く。スマホの待ち受けにするのも手
1週間以内 宣言を「もし〜なら、〜する」の形に書き直す。1つで十分
1週間以内 同じチームの仲間と「1か月後の30分」の日を決めて、カレンダーに入れる
2週間後 一度だけ振り返る。できていなければ、きっかけを変えるか、一段小さくする
1か月後 仲間と話す。できたこと・できなかったことを1つずつ。次の1か月の if-then を決める
3か月後 宣言を見直す。続いていることは少し大きく、続かなかったことは、もっと小さく書き直す

記録の読み返し方や大学の報告書への使い方は「海外研修の振り返りの書き方」に、就職活動での話し方は「ガクチカで海外経験はどう書く?」にまとめています。

代表が10年後に見たい景色

取材の中で、渡邉に10年後の理想を聞くと、まず学生の話が返ってきました。

自分たちが関わっている学生たちが、このきっかけ、世界の一歩目って僕は言ってますけど、それによって世界に目が開き、そしてキミタビに参加する前までは考えられなかったようなキャリアを歩んでいく姿っていうのを見れる。

「世界の一歩目」の先にあるのは、帰ってからの二歩目、三歩目です。朝の電車でニュースを1本読む。仲間に1行送る。渡邉が見たいと話した「考えられなかったようなキャリア」も、きっとそういう小さな一歩の積み重ねの先にあるのだと思います。現地の地域の側から見た10年後の話は、会社サイトの代表インタビューに載っています。

次に読むなら

気になることがあれば、相談会やLINEで気軽に聞いてください。「帰ってから続けられるか不安」という相談も、もちろん大丈夫です。

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