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迷っている大学生へ。「気になる」で終わらせなかったセリーナさんが、カンボジアで預かった1枚のカード

相談会で見た短い動画で参加を決め、カンボジアでは子どもから亡くなったおじいちゃんへの手紙を預かった。翌年は運営スタッフとして同じ国へ戻ったセリーナさん(大学3年)の話から、家族への伝え方、不安の減らし方、「気になる」を行動に変える手順をまとめました。

 文:キミタビ編集部

カンボジアで、カードを手にした子どもたちと並ぶセリーナさん(左端)

自分たちで考えたアクティビティの日、子どもたちにカードを配りました。いろいろな国の言葉で覚えたばかりの「ありがとう」を、誰かに書いて渡すためのカードです。

一人の女の子が、セリーナさんのところに来ました。

「grandfather の綴りを教えてほしい」

綴りを教えると、その子は黙々と書き続けました。しばらくして「これ、どうしたらいい?」と見せに来たカードには、亡くなったおじいちゃんへの手紙が書いてありました。

「そんなものがまさか来ると思ってなかったから、すごく心にぐっとくるものがあって、涙が出そうで」

持って帰ってもいいし、私が持っていてもいいよ。そう言うと、女の子は「お姉ちゃんが持っててほしい」と答えたそうです。

「私は今でもそれを大切に持っています」

セリーナさんは、2025年の夏にキミタビでカンボジアへ行き、2026年の夏は運営スタッフとしてもう一度カンボジアへ行きました。いまは大学3年生です。5回に分けて話を聞くと、行く前の迷い方、家族への話し方、帰ってからの動き方まで、これから迷う人がそのまま使える話がいくつも出てきました。

決めたのは、締め切り直前の相談会だった

セリーナさんがキミタビを見つけたのは、大学でした。決めたのは、2025年夏の応募締め切りが近づいたころの相談会です。そこで流れた短い動画を見て「絶対に参加する」と決めました。

何がそんなに響いたのか。聞くと、動画の中身を細かく覚えていました。

「最初はみんな不安そうな顔をしているのに、カンボジアの雰囲気とかが映されて、最後にそのみんなの顔つきが変わったのを見て、自分もこんなふうになりたいと思いました」

そして、もう一言。

「自分も誰かのために動いて、こんな笑顔な夏休みにしたいと思いました」

迷いや不安は「あまりなかった」と言います。一つだけ挙げるなら、治安でした。地雷の話や、勝手に持っていた「汚い」イメージ。周りからは「大丈夫?」と心配もされました。

その不安を少し軽くしたのは、2つのことです。キミタビに参加したことのある友達に話を聞いたこと。そして、現地に住んでいるスタッフに相談会で直接質問したこと。

「完璧に不安がなくなるわけではないけど、ちょっとワクワクに変わったかもしれない」

不安がゼロになってから申し込んだのではありません。それでも、ふり返ってこう話します。

「(前略)行ってみないとわからない部分はたくさんあったなと改めて思います。誰かに言われてというより、自分で現地に行って感じたのが一番でかいかなって感じです」

人が変わっていくのを見ると、自分にもできそうだと思える。心理学者のアルバート・バンデューラは1977年の論文で、「自分にはできる」という見込みが生まれる情報源の一つに、この「人がやるのを見る経験」を挙げています。私たちは、セリーナさんが動画で見た「顔つきが変わる」場面がそれにあたると見ています。ただ、本人がいちばん大きかったと言うのは、自分で行って感じたことのほうでした。

家族には、心を動かされた動画をそのまま見せた

家族の最初の反応は、賛成ではありませんでした。

「家族は最初はアメリカとかオーストラリアとか、そういう欧米の国に行ったらって言ってたけど、自分が行きたい気持ちが強かったから、それを素直に話して、自分が一番心を動かされた動画を親にも見てもらいました」

返ってきたのは、こんな言葉です。

「絶対これいいプログラムやから参加してきい」

「これは絶対成長できるね」って、すごくいい顔をしてくれた、とセリーナさんは話します。

「やっぱり自分、親の意見を大切にしたいので、背中を押してもらって、迷いとか、行っていいんかなとかいう気持ちなく、すっきりした気持ちでキミタビに最初から挑めたかなと思います」

ここで大事なのは、説得の上手さではありません。セリーナさんがしたのは、自分が何に心を動かされたのかを、加工せずに家族に見せることでした。これから参加を考える人へのアドバイスも、そこにつながっています。

「親の意見も大切だけど、自分の行きたいっていう素直な気持ちとか、自分が心を動かされたものを家族にそのまま見せるとか(中略)やっぱり自分が主体的に動くことが大事だと思います」

中略した所でセリーナさんが挙げたのは、家族が本当に不安なら、相談会の資料を見せることや、家族にも相談会に出てもらうことでした。

家族が心配しているときに見せられるものは、ほかにもあります。

「ありがとう」を教えたら、終わりだと思っていた

冒頭のカードの話に戻ります。

セリーナさんのチームがアンドン地区の子どもたちと行ったのは、「ありがとう」そのものを教えるアクティビティでした。いろいろな国の言葉でありがとうを伝え、それをサンキューカードに書いて実際に使ってもらう。子どもたちは「今日は来てくれてありがとう」「お菓子くれてありがとう」という意味で、ありがとうを伝えてくれたそうです。

初めて子どもたちと「初めまして」をした日のことももちろん覚えている。でも、いちばん残っているのは、自分たちで考えたこのアクティビティをやった日の、子どもたちの笑顔と「ありがとう」だと言います。

その中に、おじいちゃんへの手紙がありました。預かったときの気持ちを聞くと、セリーナさんは少し言葉を探しながら答えました。

「すごく苦しいというか、こうやって伝えられる場面を作れてよかったなって思ったりだとか、この子のためにもっとできることがありそうだなっていう(中略)正直それを教えたら終わると思っていたけど、次につながるというか、終わりはないなって感じました」

その子に何と声をかけたのか。

「正直何て言葉をかけてあげたらいいかわからなくて、そのカードをくれた時にありがとうって笑顔で伝えました」

チームでの毎日と、英語の質問で詰まった発表

仲間については、「本当に日常の毎日が思い出です」と言います。

意外と楽しかったのは、ホテルの近くのカフェでフォーを食べながら、みんなで企画について話していた時間でした。「みんなで頑張ろうね」と言い合ったり、違う意見が出たら「それはそうだけど、こうじゃない?」と言い合えたり。最終日、結果を見てみんなが泣く場面を見て、セリーナさんは「みんなそんな本気で取り組んでくれてたんやな」と思ったそうです。

街の印象も、行く前とは違いました。

「カンボジアに着いた瞬間、こんなに発展してるんやとか、ビルあるんやとか、すごく印象と違くて」

パクチーの料理が好きな人なら食事はきっと楽しめる、とも。日本食の店もあって、丸亀製麺でうどんを食べたときはびっくりしたそうです。

発表は、英語でした。「絶対勝ってやる、絶対伝えてやる」という気持ちで、前の日の夜に原稿を暗記しました。発表そのものの緊張は「そこまでではなかった」。難しかったのは、そのあとの質疑です。現地の関係者から、想像していなかった深い質問が来ました。聞き取りにくさもありました。

「もっと知らないといけないなって気づかされました」

そこで学んだことを、セリーナさんはこうまとめます。

「暗記するだけじゃなくて、少し気持ちが乗れば自然に話ができるから、質問に答えるときも完璧に答えようとせずに、自分が言いたいことを英語で伝えれば、話が通じるのかなって、改めて学ぶことができました」

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MVPの投票、自分にも入れていた

帰ってから変わったことを聞くと、セリーナさんは「自分への見方」を選びました。

「とにかく行動力がついたっていうのと、自分は人をまとめることが得意だと、もともと思ってたんですけど、リーダーとかMVPとかもらったことで、より自信がつきました」

MVPは、チームのみんなの投票で決まりました。

「みんなが投票してくれたことで、自分は認められてるって、その明らかな証拠があるというか」

そして、少し照れるような話も教えてくれました。

「自分自身もやっぱりものすごく頑張ってきたので、絶対私がMVPじゃないかって、自分でも自分に投票したぐらいだったので」

アクティビティがうまくいったこと、MVPをもらったこと、みんなの前で自信を持って話せるようになったこと。現地で迷いが自信に変わった場面として、セリーナさんはこの3つを挙げました。

帰ってからは、友達や家族に「セリーナすごい」と言われたそうです。現地での様子を見ていないのに、ストーリーやSNSを見るだけで伝わった、と。

人との関わり方も変わりました。

「キミタビで出会えた人って、キミタビに参加してないと出会えないし、(中略)、日本に帰ってきてからも話しかけるとか、些細なことでも聞いたりだとか、出会いとか人との関係はすごく変わりました」

スタッフとは、いまも気軽に連絡できる関係が続いています。ベトナムへ旅行に行くとき、おすすめのレストランやガイドさんを教えてもらったこともあるそうです。「知らない異国で、やっぱり知り合いを通すってすごく安心しました」。

進路は、まだ決めきれていない

いまのセリーナさんは、客室乗務員を目指しています。それは参加する前から変わっていません。ただ、見え方は少し変わりました。

「自分はやっぱり誰かのためにとか、その人を笑顔にしたい、人のために何かをしたいってことに気づくことができて(中略)もしかしたら他にももっと選択肢があるかもしれない。そこに縛られる必要はないなっていうことに気づくことができました」

その気づきは、最終日の自己分析・他己分析のワークだけでなく、帰ってから仲間と久しぶりに会って話したとき、そして翌年もう一度カンボジアへ行ったことで、さらにはっきりしたと言います。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでアルバイトをしていたとき、お客さんに「お姉さんにまた今度会いに来るね」「写真撮ろう」と言ってもらえたことがあります。

「(前略)足を運んでくださるってことで本当に嬉しさを覚えて、この人のために考えてよかったなとか、時間を使ってよかったなって思いました」

いま力を入れているのは英語で、TOEIC や TOEFL のスコアが上がったときは「目に見えるのですごく手応えを感じます」。それでも、これからについてはこう話します。

「今正直一番悩んでいる時で決めきれないんですけど、誰かのために、誰かの役に立つことをしたいです」

「気になる」を行動に変える、5つの順番

迷っている後輩に伝えたいことを聞くと、セリーナさんの答えははっきりしていました。

「キミタビに参加して後悔することは本当にないし、迷ってるなら絶対今参加するべき。行かなかったら結局後回しになっちゃうし、大学1年、2年、3年になるにつれて就活も近づくから、タイミングを逃してしまう」

「気になったら気になるで終わりじゃなくて、自分から足を運んで話を聞きに行ったり見に行ったりだとか、気になるで終わらせないってこと。とりあえず気になったら参加する。気になったら気が済むまで聞くとか、そういう行動が大事だと思います」

セリーナさんが実際にしたことを、順番に並べるとこうなります。

順番 セリーナさんがしたこと 今日できること
1 大学でキミタビを見つけた 気になったページを保存して、何が気になったかを1行メモする
2 相談会に出て、動画を見た 相談会の日程を見て、1回だけ出てみる
3 参加したことのある友達と、現地のスタッフに不安を聞いた 不安を3つ書き出して、相談会でそのまま聞く
4 家族に気持ちを話し、心を動かされた動画を見せた 自分が「いいな」と思ったものを、説明を足さずに家族に見せる。家族が不安なら資料を渡すか、相談会に一緒に出てもらう
5 不安がゼロでなくても申し込んだ 「ちょっとワクワク」が残っていたら、締め切りの前に決める

最後に、セリーナさんの言葉をもう一つ。

「迷っている時間がもったいないから、挑戦してみて(中略)とりあえず挑戦してみる、若いうちに挑戦するってことが大事だと思います」

いま募集している旅の日程と参加費は、各国のページで確かめられます。気になったら、まずは相談会で、気が済むまで聞いてみてください。

ほかの読み物

気になったら、そのまま聞いていい。

日程だけ、費用だけ、親に見せる資料だけ、でも。