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チームがうまくいかないとき、スタッフに話していい? 現地で相談を受けてきたルイさんの話

「チームの雰囲気がうまくいってない気がして」。泣きながら相談に来た学生に、キミタビのスタッフ・ルイさんが最初に返したのは答えではなく問いでした。相談のあとチームで何が起きたのか、ルイさんがこの仕事を続ける理由、相談する前に書いておくとよい3つのことをまとめました。

 文:キミタビ編集部

キミタビDIVEで、スタッフに相談する参加者たち

「チームの雰囲気がうまくいってない気がして、自分に何ができるかわからなくて」

キミタビのスタッフ、ルイさんのところに、ある学生がこう言って相談に来ました。涙ながらに、だったそうです。

チームで動いていると、こういう日はたぶん来ます。話し合いが進まない。誰かが黙る。自分のせいかもしれないと思う。でも、何をすればいいのか分からない。そのとき、スタッフに言いに行っていいのか。言ったら何が起きるのか。

ルイさんは、カンボジアのキミタビに、数回を除いてほぼ毎回スタッフとして加わってきました。いまはフリーランスで働いています。今回は、ルイさんがこの仕事を続ける理由を聞いた取材から、「相談」の場面を中心にまとめます。

続けたいと思うのは、心の動きが伝わってきた時

「キミタビに関わり続けたいと思った瞬間は?」と聞くと、ルイさんはこう答えました。

続けたいと思った瞬間は、学生さんたちの成長や感動、心の動きがものすごく伝わった時です。 ルイさん(キミタビ スタッフ)

そして、すぐに例を挙げます。楽しかった場面ではなく、チームがうまくいかなかった場面でした。

例えば、学生さんのチーム同士がうまくいかない時に、それぞれの悩みを自分の振り返りに書くだけじゃなくて、私に相談をしてくれたり、涙ながらに悩んでいたり。そんな時、そこから自分たちなりに頑張ろうとしている姿を見た時です。 ルイさん

ここで出てくる「振り返り」は、キミタビで毎日書く記録のことです。その日の学びや体調を書き、スタッフが翌朝までに全員分を読みます。書くだけでも、スタッフは気づけます。それでも、書くだけで終わらせずに直接話しに来る学生がいる。ルイさんが覚えているのは、その相談のあとのことです。

最初に返すのは「どう思ってる?」

泣きながら「自分に何ができるかわからない」と言われたら、何か答えを言ってあげたくなります。「こうしてみたら?」「気にしなくていいよ」。

ルイさんが最初にしたのは、別のことでした。

まず状況をどう思っているのかと、本人の理解を聞こうとしました。 ルイさん

答えを出す前に、本人が今の状況をどう見ているかを聞く。聞かれた学生の様子を、ルイさんはこう話します。

深く自分の考えとか感情とかに焦点を当てて、考えを巡らせているような印象でした。 ルイさん

「チームがうまくいってない」と言っているあいだ、頭の中にあるのは、ぼんやりした重さだけかもしれません。「どう思ってる?」と聞かれると、その重さを言葉にすることになります。自分は何に引っかかっているのか。それを口に出しているうちに、できそうなことが少し見えてくることがあります。

私たちは、スタッフが答えを先に言わないのは、突き放すためではないと考えています。チームの中で動くのは、最後は学生本人です。スタッフの答えを持ち帰るより、自分で見つけた一歩のほうが、チームに戻ったときに使えます。

相談のあと、チームで起きたこと

ありがたいと感じた場面を一つ、と聞くと、ルイさんが挙げたのは相談のあとの姿でした。

私に相談をした後、リーダーだったりメンバーだったりが、一生懸命チームに歩み寄ろうとして努力している姿、そして自分なりにもちゃんと振り返ることができている、そんな悩みながらも進んでいる姿です。 ルイさん

印象に残ったのはリーダーの言葉か、メンバーの行動か、と聞かれて、ルイさんは「両方ですね」と答えています。

ここで大事なのは、チームの悩みがきれいに消えた、という話ではないことです。ルイさんの言葉は「悩みながらも進んでいる」。悩みはまだある。それでも、歩み寄ろうとしている。自分でも振り返っている。

ルイさんは、その姿をこう呼びました。

あくまで一例ではあるんですけれども、やはりその心を素直に、一生懸命取り組むということが本当に美しい成長だと思っていて、そこに携われることは、私にとってとてもありがたい、素敵な経験だなと思います。 ルイさん

チームがうまくいかないと、「自分たちは失敗している」と感じやすいものです。けれど、ほぼ毎回の回をそばで見てきたルイさんは、悩んで、相談して、もう一度チームに戻っていく流れを「成長」と呼んでいます。

「助けて」と言えるチームは、学べるチーム

この流れは、チームの研究でも説明されています。

ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン氏は、1999年に、ある製造業の会社の51のチームを調べた研究を発表しました。そこで使われたのが「チームの心理的安全性」という考え方です。論文では、チームの中で対人関係のリスクをとっても大丈夫だという、メンバーが共有している思いのこととされています。

あわせて調べたのが、チームの「学ぶ行動」です。論文が例に挙げているのは、意見を求める、情報を共有する、助けを求める、失敗について話す、試してみる、といった行動でした。

結果はこうです。心理的安全性が高いチームほど学ぶ行動が多く、その学ぶ行動を通じて、チームの成果が上がっていました。

これは働く人のチームを調べた研究で、学生のチームでそのまま測ったものではありません。それでも、スタッフに相談すること、チームで「分からない」と口にすることは、論文の言う「助けを求める」「失敗について話す」にあたります。泣きながら相談に来た学生がしたのは、弱さを見せることではなく、チームが学び始めるための一歩だった、と読むこともできます。

「私がやらなきゃ」という責任感

取材の後半、キミタビに関わり続ける理由を一言で、と聞かれたルイさんは、こう話しました。

(前略)私に居場所だったりとか、やるべきことを与えてくれる場所、そしてキミタビの可能性とか、世界へのたくさんの可能性に携わらせてもらっていることかな。 ルイさん

可能性を感じたこととして、参加する人が増えていること、この夏にタイやベトナムにも広がったことを挙げています。

責任感についても、ルイさんはこう話しています。

「頑張ろう」って言ったら、私がやらなきゃなっていう責任感が起きるような気がします。そうだなぁ。直接電話が来たり、相談があったり、私を頼ってもらえてることを感じられた時とかです。 ルイさん

相談に行く側は、「こんなことで呼び出して悪いかな」と思いがちです。私たちは、頼られることがスタッフにとっても関わり続ける理由の一部になっていると見ています。少なくともルイさんは、直接の電話や相談を「頼ってもらえてる」と受け取っていました。

相談する前に、3つだけ書いてみる

ここからは、ルイさんの話をもとに、私たちが学生のみなさんに勧めたいことです。

ルイさんが最初に聞くのは「状況をどう思ってるの?」でした。だとすれば、相談に行く前に、自分で少しだけ準備しておくと話しやすくなります。紙でもスマホのメモでも、毎日の振り返りの欄でもかまいません。

書くこと 例
1 何が起きたか(見たこと・聞いたこと) 今日の話し合いで、2人がほとんど話さなかった。案が決まらないまま時間が終わった
2 自分はどう思うか(気持ちと、見立て) 自分が話しすぎたせいかもしれない。焦っている。みんな疲れている気もする
3 自分にできそうなこと(小さくてよい) 明日の朝、黙っていた1人に先に声をかけてみる。分からなければ「分からない」と書く

この3つは、毎日の振り返りの欄にそのまま書いてもかまいません。振り返りはスタッフが翌朝までに全員分を読み、気になる記録があればスタッフから声をかけます。面と向かって言い出せなくても、書いておけば、翌朝の一言につながります。

3番目は、空欄でもかまいません。最初に相談に来た学生も「自分に何ができるかわからなくて」と言っていました。分からないことを、そのまま持っていけばいい。

うまく書けないときは、書かずにそのまま話しに行ってください。

話すときに覚えておくとよいこと

  • チームの誰かを悪く言うためではなく、自分がどうしたいかを話す。 「あの人が悪い」から始めると、自分にできることが見えにくくなります
  • すぐに答えをもらえなくても、がっかりしない。 「どう思ってる?」と聞き返されるのは、あなたの考えを大事にしているからです
  • 話したあと、1つだけ動く。 ルイさんが「美しい」と言ったのは、相談のあとにチームへ歩み寄っていく姿でした。大きなことでなくていい
  • その日の振り返りに、相談したことを書いておく。 あとで読み返すと、自分がどう進んだかが分かります

体調と、家の急ぎの連絡は、すぐに

チームの悩みは、少し考えてから話してもかまいません。でも、待たないほうがいいこともあります。

相談がありますとか、体調が悪い時とか、お家が緊急時もあるので、すぐに行動に移しますよ。 ルイさん

体の具合が悪いとき、家族から急ぎの連絡が入ったときは、準備も遠慮もいりません。そのままスタッフに言ってください。

キミタビでは、現地に駐在するスタッフが滞在中24時間対応し、体調と活動の振り返りを毎日記録して、スタッフが翌朝までに全員分を確認しています。言い出しにくいことも、振り返りに一言書いておけば、スタッフから声をかけられます。くわしくは安全と体制にまとめています。

一生懸命になれる場所

大事にしている関わり方を一言で、と聞くと、ルイさんの答えは短いものでした。

美しい成長への立ち会い、自分の成長。 ルイさん

自分の成長でいちばん変わったところは、と続けて聞くと、こう話しています。

物の考え方や導き方を、常にじわじわと学べているような感じがする。 ルイさん

学生の成長に立ち会うことと、自分の成長。ルイさんの中では、この2つが並んでいます。

そして「この話でいちばん伝えたいことは?」と聞くと、ルイさんはキミタビに集まる大学生の話をしました。

大学生、集まる人たちの目線はとても高い。自分のやりたいことがよくわからない子たちも、本当に人生の中で一番と言っていいほど一生懸命になれる瞬間であり、青春であり。 ルイさん

自分のやりたいことが分からないまま来る人もいる。それでも、一生懸命になれる。一生懸命だからこそ、チームがうまくいかないと涙も出るのだと思います。

チームのことで行き詰まったら、ひとりで抱えずに話しに来てください。最初に聞かれるのは、たぶん「どう思ってる?」です。

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