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海外で体調が悪いとき「大丈夫」で返さない。スタッフのルイさんが聞く「1から10で、いくつ?」

「大丈夫?」と聞かれると、つい「大丈夫です」と答えてしまう。カンボジアのキミタビでほぼ毎回スタッフを務めてきたルイさんは、体調を数字で聞きます。限界のサイン、休んだあとの連絡、落ち込んだ日の問い、ひとりで動かない決まり、プノンペンの日差しまで、現地で体と気持ちを守る方法をまとめました。

 文:キミタビ編集部

プノンペンで、スタッフと1対1で話す参加者

「大丈夫?」と聞かれて、「大丈夫です」と答える。

本当は少し気持ち悪い。でも、みんなが楽しそうにしている。言ったら迷惑かもしれない。だから、とりあえず「大丈夫」。日本でも、たぶん何度もやってきた返事です。

カンボジアのキミタビで、数回を除いてほぼ毎回スタッフとして加わってきたルイさんは、この聞き方をしません。

体調の聞き方は、大丈夫かと聞くのではなく、1から10で言うと体調はいくつか、というふうに聞いています。 ルイさん

ルイさんは、いまはフリーランスで働いています。4回に分けて話を聞くと、体調の聞き方、落ち込んだ日の声のかけ方、夜の動き方、プノンペンの日差しの話が出てきました。

「大丈夫?」には、答えが1つしかない

「大丈夫?」は、はいか、いいえで答える問いです。そして、ほとんどの人は「はい」と答えます。

「1から10で言うと、いくつ?」と聞かれると、少し考えます。7かな、5かな。数字には「大丈夫」と「大丈夫じゃない」のあいだがあります。「元気だけど、ちょっと疲れてる」も、そのまま伝えられます。

もう1つ、数字だと昨日と比べられます。昨日が8で今日が5なら、自分では「まだいける」と思っていても、下がっていることははっきりします。

ルイさんがどんなとき「限界」だと見るのかも聞きました。

顔色が悪かったりとか、本人が限界だとそう言います。かなり吐きそうだったりとか、目がダメだったり、料理を作るのがつらいと言うようになってくる時には、大体限界です。 ルイさん

そのときは、自分の部屋に戻って休みます。ルイさんが決めているのは、そのあとのことです。

私に追って連絡を入れてもらうこと。その時に、状況がどうなったかを報告してもらっています。 ルイさん

休んで終わりにしない。少したったら、どうなったかを伝える。部屋にひとりでいても、つながりは切れていない、ということです。

体と気持ちは、つながっている

ルイさんは、体調の話をこう続けました。

体が資本です。健康でないと、気持ちが後ろ向きになる。 ルイさん

海外で急に落ち込んだとき、私たちはまず「自分の気持ちの問題だ」と考えがちです。でも、健康でないと気持ちが後ろ向きになる、とルイさんは言います。気分が沈んだ日は、体の数字もいっしょに見てみてください。

ルイさんは、現地で見た小さな変化も話してくれました。

普段朝ごはんを食べない子が、朝ごはんを食べてたりとか、そういう変化もあります。 ルイさん

ちなみに、ルイさん自身はプノンペンでの暮らしについて聞かれ、「朝ごはんは食べないです」と答えています。

この話で、いちばん伝えたいことは何か。ルイさんの答えはこうでした。

気持ちを強く持つこと。(中略)常に前向きであることです。 ルイさん

体を整えることと、気持ちを強く持つこと。ルイさんはどちらも大事にしている、と私たちは見ています。

落ち込んで見えるとき、ルイさんが最初に言うこと

体だけでなく、気持ちが沈む日もあります。落ち込んでいる学生にまずかける言葉を聞くと、ルイさんの答えは一言でした。

どうした? ルイさん

どんな学生に声をかけるのか。いつ声をかけるのか。

表情が暗い学生とか、意見が出てなさそうな学生とか、体調が悪い学生とか、悩んでそうな学生。一瞬一人になった時とか声をかけます。 ルイさん

みんなの前ではなく、ひとりになった一瞬です。

学生が「なんだろう、うまくいってなくて」と言ったら、ルイさんは「そうなんだ、どうしたいのかな?」と聞きます。英語の悩み、チームメンバーへの悩み。そういう話を、ゆっくり聞きます。

学生にもよりますけど、ちゃんと付き合わなきゃなっていうときは、30分以上話を聞きますかね。 ルイさん

最初はゆっくりでいいから考えてみようか、って言います。理想的にはどうしたい?って聞きます。 ルイさん

チームのことで相談を受けたときの話は、チームがうまくいかないとき、スタッフに話していい?にくわしく書いています。

ひとりで動かない、という決まり

夜の外出で必ず守る決まりを聞くと、ルイさんはこう答えました。

一人で行動しないこと。基本的には、独断で行動させないようにしているだけです。 ルイさん

決まりは、オリエンテーションで伝えます。

カンボジアで過ごすにあたって、きちんと安全に過ごしてほしいので、必ずこれは守りましょう、と伝えています。オリエンテーションで一通りいくつか話すので、それを守ってもらっています。 ルイさん

自由時間の過ごし方は、みんなそれぞれです。夜の移動はトゥクトゥク。4人で大きなトゥクトゥクに乗って、「より開放的な雰囲気を感じている様子が見られた時がありました」とルイさんは話します。

プノンペンで気をつけるのは、治安より「太陽」

プノンペンで暮らすときに注意していることを聞くと、聞き手は「治安ですか」と聞き返しました。ルイさんの答えは違いました。

気をつけているのは、治安ではなくて、太陽の紫外線です。日焼け止めを塗ること、サングラスをかけること、アームカバーをつけること。 ルイさん

世界保健機関(WHO)は、紫外線の強さを「UVインデックス」という数字で表しています。3〜7なら、昼の時間帯は日かげに入り、シャツ・日焼け止め・帽子で守る。8以上なら、昼の時間帯の外出を避け、シャツ・日焼け止め・帽子は「必須」としています。守るときは、服、帽子、サングラス、日かげ、日焼け止めを全部使うように、とも書いています(WHO、2022年)。

ルイさんの3つに帽子を足せば、WHO の挙げるものがほぼそろいます。出発前に天気アプリでプノンペンのUVインデックスを一度見ておくと、何を持っていくかを決めやすくなります。

数字を伝える2つの場面

ここからは、ルイさんの話と、キミタビの仕組みをもとにした話です。

1つ目は、スタッフに聞かれたとき。「1から10で言うと、いくつ?」と聞かれたら、数字と、その理由を1つだけ言います。

  • 「6です。昨日あまり眠れなくて」
  • 「4です。お腹の調子がよくないです」
  • 「8です。暑いけど元気です」

理由は、うまく言えなくてもかまいません。数字だけでも、次の話のきっかけになります。

2つ目は、毎日の記録です。キミタビでは、体調と活動の振り返りを毎日記録し、スタッフが翌朝までに確認しています。面と向かって言えない日も、記録に数字を1つ書いておけば、スタッフから声をかけられます。くわしくは安全と体制にまとめています。

行く前に決めておく「自分の数字」

ここからは、私たちが学生のみなさんに勧めたいことです。キミタビで決まっている基準ではありません。自分用のメモの例です。

現地で「いくつ?」と聞かれたとき、その場で考えると、つい高めに言ってしまいます。だから行く前に、自分の数字の意味をざっくり決めておきます。

数字 自分の状態(例) すること(例)
8〜10 いつもどおり。お腹もすく そのまま動く。水はこまめに
5〜7 だるい、眠い、少し頭が痛い スタッフに数字を言う。昼は日かげへ。夜は早めに寝る
1〜4 顔色が悪いと言われた、吐きそう、「限界」と思う すぐスタッフに言う。部屋に戻って休み、あとで状況を連絡する

数字は、きっちり当てなくてかまいません。昨日より上か下か。それが伝わるだけでも、十分です。

部屋に戻って休んだあと、ルイさんの言う「状況がどうなったか」の連絡も、何を書くか決めておくと迷いません。たとえば、次の4つです。

  1. いまの数字(「さっきは3、いまは5」)
  2. いちばんつらいこと(吐き気、頭痛、だるさなど)
  3. 水を飲めているか、何か食べられたか
  4. ほしいもの(もう少し寝たい、薬のことを聞きたい、など)

全部そろわなくても、1だけでも送ってください。連絡が来ることで、スタッフはあなたの様子を知ることができます。

もう1つ。落ち込んだ日に、ルイさんが聞くことは決まっています。

  • どうした?
  • どうしたいのかな?
  • 理想的にはどうしたい?

この3つは、自分で自分に聞くこともできます。たとえば、こんなふうにです。

問い 自分の答え(例)
どうした? 話し合いで、英語で言いたいことが言えなかった
どうしたいのかな? 明日は1回でいいから、自分の案を言いたい
理想的にはどうしたい? チームの中で、自分の考えを英語で説明できるようになりたい

3つ目の「理想」は、大きくてかまいません。2つ目の「どうしたい」が、そこへ向かう明日の一歩になります。

答えが出なければ、出ないまま話しに行っていい。ルイさんは「最初はゆっくりでいいから」と言っています。

出発前の持ち物には、日焼け止め・サングラス・アームカバー・帽子を入れておきます。体調が悪いときに部屋で休んだら、あとで状況を連絡する。夜はひとりで出かけない。どれも、着いてから考えるより、先に決めておいたほうが楽です。

「大丈夫?」と聞かれたら、一度、数字で答えてみてください。

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